賃金問題について考える

2012年に介護労働安定センターから発表された職員の賃金に関する実態調査の結果によると、64.6パーセントの事業所が介護福祉士を保有している者の月例給与に加算すると回答している。ケアマネジャーは35.2パーセント、旧ヘルパー2級修了は26.9パーセントだ。特に中途就職者の場合には、保有資格の他、実務経験年数や実務遂行能力が求められている傾向にある。介護職の中でも賃金が高いとされている介護福祉士の1ヶ月当たりの平均実賃金は236,596円。旧ヘルパー2級修了者より24,476円、無資格者より40,164円高い。資格手当は事業所によって大きな差異があり、30,000円以上支給している事業所もある。平均額は10,802円となっており、5,000円以上15,000円未満が一般的だ。中には手当てが1,000円に満たない事業所もあり、国家資格の対価として給料が還元されないことに不満を感じている人は少なくないようだ。

賃金の低さが、有資格者としてのモチベーションの減退に繋がっている。資格手当や賞与を支給していない事業所は4割程度となっている。同じく国家資格である社会福祉士と精神保健福祉士の資格手当も賞与も水準が高い。基本給に差を設けて同様にライセンスを持っている他職種スタッフと給与を同等にする措置を講じている事業所もある。給与の額によって職員間の不和が生じる危険性は多々あり、安定した収入が円滑な業務の遂行に寄与している部分は大きいと言えるだろう。